鶴巻温泉駅は住みやすい?駅名に「温泉」がつく街—日帰り湯と弘法山の麓で暮らす治安・家賃・住環境


目次

鶴巻温泉駅の住みやすさ総合評価

駅名に「温泉」が入っている駅に、住む。

この響きだけで、ちょっと心が動く人は多いはずだ。小田急小田原線・鶴巻温泉駅。神奈川県秦野市の東端にあるこの駅は、その名の通り温泉地であり、駅から徒歩2分の場所に日帰り温泉施設「弘法の里湯」がある。仕事帰りに、ふらっと温泉に寄って帰る——そんな暮らしが、誇張なしに日常になる街だ。

この沿線を新宿から長く追いかけてきた読者には、伊勢原のさらに先、というこの駅の位置から「もう完全に郊外、いや、ほぼ温泉地」という距離感が伝わるはずだ。実際その通りで、ここはかつて旅館が立ち並んだ温泉街の面影を残す、静かな住宅地になっている。鶴巻温泉の湯はカルシウム含有量が世界有数とも言われ、知る人ぞ知る名湯だ。

鶴巻温泉駅は落ち着いた雰囲気と、都心および神奈川西部へのアクセスの点においてとても便利だ。神奈川西部である小田原までも小田急線1本で行ける。駅からは神奈中バスで平塚方面へ行くこともできる。また近くに山があり、駅で降りた際に豊かな自然の空気を感じ取ることができる。鶴巻温泉駅については数年前に環境が整備されて綺麗になっており、新しい遊歩道からは豊かな鶴巻温泉の街並みを一望できる点も大きな特色だ。

駅は数年前にリニューアルされ、見違えるほど綺麗になった。そして特筆すべきは、この駅の「優しさ」だ。お年寄りが多く利用される駅だからか、駅の中にはエスカレーターやエレベーターがあり、バリアフリーな作りだ。北口には階段とエスカレーター以外にスロープも用意されているため、車椅子の方も改札口に向かいやすい。小さなお子さま連れの方も安心して利用できる。高齢者・車椅子・ベビーカー、誰にでも優しい駅の構造は、この街の穏やかな空気をそのまま体現している。

正直に言えば、商業の充実度は限られ、都心は遠い。それでも「温泉と山と静けさ」という三点セットを、沿線最安級の家賃で手に入れられる場所は、首都圏広しといえどもここくらいだ。


鶴巻温泉駅の治安は大丈夫?

数字で見ると、安心できる水準にある。

令和6年の神奈川県警察オープンデータによると、秦野市全体で総合計178件の犯罪が発生しており、内訳は自転車盗113件、オートバイ盗39件、部品ねらい20件などとなっている。市全体で年間178件、しかもその大半が自転車・バイク関連の窃盗——凶悪犯罪とは縁遠い、典型的な「平和な郊外都市」の犯罪傾向だ。

神奈川県の中では比較的少なめの件数であるため、治安は良好だといえる。住民の口コミでも「そんなにごみごみもしていなく、住宅地であるが、比較的静かに過ごせる」という穏やかな評価が並ぶ。

温泉地としての観光客の往来はあるが、歓楽街的な賑わいはなく、夜の繁華街トラブルとは無縁の環境だ。お年寄りの利用が多い駅であることも、街全体の落ち着いた雰囲気につながっている。

防犯面で心強いディテールもある。北口の駅近くの公共トイレは交番のすぐ隣にあるため防犯面も行き届いており、女性も利用しやすい。駅前に交番があり、公共施設の管理も行き届いている——細部に「安心して暮らせる街」の設計が見える。

注意点は、データが示す通り自転車盗・オートバイ盗だ。秦野市の犯罪の大半を占めるこの2つには、二重ロック・防犯登録で確実に対策しておきたい。また、山裾・農地エリアの夜道は暗くなるため、帰宅ルートの夜間確認は習慣にしてほしい。

属性別の整理:

  • 女性の一人暮らし → 繁華街がなく穏やかな環境。交番隣の公共トイレなど防犯配慮もある。山側の夜道だけ事前確認を
  • 学生 → 静かで治安が良く、家賃も安い。隣の東海大学前と並び、学生の選択肢になる
  • ファミリー → 秦野市立鶴巻小学校・つくし保育園・つるまきこども園・つるまき幼稚園が揃い、子育て施設が駅周辺に集まっている
  • 全般 → 自転車盗・オートバイ盗が市の犯罪の大半。二重ロックを徹底すること

鶴巻温泉駅の家賃相場と賃貸事情

ここまで沿線を下ってきて、家賃はついに「1K 4万円台半ば」という水準に到達する。

一人暮らし向けは平均4.8万円、二人暮らし向けは平均7万円、ファミリー向けは平均7万円。間取り別では1Kが4万円と最も物件数が多く、単身者向け物件が豊富だ。2LDKで7万円、3DKで6万円と、ファミリー向けも10万円以下で借りられる手頃な価格帯が特徴。都心と比べて圧倒的に家賃負担が軽く、生活費を抑えたい層に適している。

間取り別 家賃相場(鶴巻温泉駅 徒歩10分以内)

間取り家賃相場(目安)想定入居者層
1R3〜5万円学生・節約重視の単身者
1K4〜5万円一人暮らし全般
1DK5〜6万円ゆとりある単身・同棲候補
1LDK6〜8.5万円同棲・二人暮らし
2LDK7〜9.5万円カップル・ファミリー
3LDK以上8〜12万円ファミリー向け

注目してほしいのは「2LDKで7万円」「ファミリー向け平均7万円」という数字だ。都内なら1Kがやっと借りられる予算で、ここではファミリー向けの広い部屋に住める。鶴巻温泉駅周辺の家賃相場は秦野市の平均よりも5,000円ほど高い水準だが、それでもこの安さ——温泉つきの街としては、破格と言っていい。

「家賃を半分にして、浮いたお金で温泉に通う」という生活設計が、冗談ではなく成立する。弘法の里湯の利用料を毎週払っても、都内の家賃差額には遠く及ばない。

買い物環境:駅周辺にスーパー・ドラッグストア・コンビニがあり、日常の買い物は完結する。ただし規模は限られ、鶴巻温泉駅には66件のお店があり、神奈川県の平均評点を上回るお店は18件あるという飲食環境も「最低限プラスアルファ」の水準だ。まとまった買い物・娯楽は伊勢原・本厚木・秦野へ出る前提になる。


鶴巻温泉駅のアクセス・通勤利便性

各駅停車中心の駅——ここは正直に伝えておく。だが、使い方次第で印象は変わる。

鶴巻温泉駅には各駅停車・準急などが停車し、急行・快速急行は基本的に通過する(時間帯により一部停車あり)。速達列車を使うには、隣の伊勢原(快速急行・ロマンスカー停車)か、本厚木での乗り換えが現実的だ。

主要駅へのアクセス一覧

目的地路線・手段所要時間の目安
伊勢原小田急線(各停)約3分
東海大学前小田急線(各停)約2分
本厚木小田急線(各停)約10分
秦野小田急線(各停)約6分
新宿各停→伊勢原・本厚木で快速急行乗換約65〜75分
小田原小田急線(各停→急行乗換)約25分
箱根湯本小田原乗換約45分
平塚神奈中バス約30分
町田快速急行乗換約35分

神奈川西部である小田原までも小田急線1本で行ける。駅からは神奈中バスで平塚方面へ行くこともできる。都心方面は遠いが、小田原・箱根・平塚(湘南)方面へのアクセスは良好だ。伊勢原と同様、「西を向いて暮らす」立地である。

通勤の現実を言えば、新宿まで約65〜75分は、毎日のフル出社にはかなり重い。この駅が輝くのは、「リモートワーク中心」「職場が秦野・伊勢原・本厚木・平塚方面」「週数回の都心出社」という働き方の人だ。逆にそういう人にとっては、各停駅ゆえに座りやすく、穏やかに通勤できる環境でもある。

そしてこの駅最大の固有価値は、通勤ではなく「歩いて行ける場所」にある。鶴巻温泉駅は弘法山ハイキングコースの起点・終点として知られ、弘法山〜権現山〜浅間山を縦走して秦野駅へ抜けるコースは、首都圏のハイカーに愛される定番ルートだ。山を歩いて下りてきて、駅前の弘法の里湯で汗を流して帰る——この体験が「自宅の最寄り駅」でできるのは、首都圏でこの駅くらいだろう。


鶴巻温泉駅はどんな人に向いている?

「温泉・山・静けさ・安さ。この4つに心が動くか」——それが、この駅との相性を測るすべてだ。

一人暮らし向きか?

向いている人には、これ以上ない環境だ。1K 4〜5万円という沿線最安級の家賃で、徒歩2分に日帰り温泉、裏山にハイキングコース。リモートワーク中心の人なら、「平日は静かな部屋で仕事、夕方に温泉、週末は弘法山」という、都内では金を積んでも買えない生活リズムが手に入る。ただし都心への毎日通勤には不向きで、夜の娯楽もほぼない。生活の重心が「家の周り」にある人向けだ。

カップル・同棲向きか?

向いている。1LDK 6〜8万円、二人で割れば一人3〜4万円という負担の軽さは、このシリーズでも最安水準だ。週末は二人で弘法山を歩き、温泉に浸かり、たまに小田原や箱根へ——「お金をかけずに、豊かな休日を過ごす」ことが自然にできる。家賃を抑えて結婚資金・旅行資金を貯めたい二人には、合理的かつ情緒もある選択になる。

ファミリー向きか?

向いている。秦野市立鶴巻小学校・つくし保育園・つるまきこども園・つるまき幼稚園と、保育〜小学校の施設が駅周辺に揃っている。ファミリー向け賃貸が平均7万円、2LDKで7万円という家賃は、子育て期の家計に大きな余裕を生む。自然の中でのびのび育てたい家族には良い環境だ。ただし口コミにある通り、塾が遠くなる、学校などを選択する際に遠いので選択できる学校が限られるという教育面の制約は、中学受験などを視野に入れる家庭は事前に検討しておきたい。


鶴巻温泉駅のメリット・デメリット

住んでよかった点

  • 駅徒歩2分の日帰り温泉「弘法の里湯」で、温泉のある日常が実現する
  • 1K 4万円・2LDK 7万円という沿線最安級の家賃水準
  • 弘法山ハイキングコースの起点で、山歩き→温泉という休日が徒歩圏で完結
  • エスカレーター・エレベーター・スロープ完備のバリアフリーな駅構造
  • 数年前に駅環境が整備されて綺麗になり、遊歩道から街並みを一望できる
  • 秦野市の犯罪は年間178件・大半が自転車盗で、凶悪犯罪と縁遠い平和な環境
  • 小田原まで小田急1本、神奈中バスで平塚方面へも出られる
  • 北口の公共トイレが交番のすぐ隣にあり、防犯面の配慮が行き届いている
  • 保育園・こども園・幼稚園・小学校が駅周辺に揃う子育てインフラ
  • カルシウム含有量世界有数とされる名湯の温泉地に住むという固有の豊かさ
  • 各停中心で利用者が少なく、座って通勤しやすい

住んでみてわかった不満点

  • 急行・快速急行が基本通過し、新宿まで約65〜75分と都心通勤の負担が大きい
  • 商業施設の規模が限られ、まとまった買い物は伊勢原・本厚木・秦野へ出る前提
  • 塾が遠く、選択できる学校が限られるという教育面の制約がある
  • 夜遅くまで営業する飲食店がほぼなく、深夜の外食選択肢が乏しい
  • 自転車盗113件・オートバイ盗39件と二輪車関連の窃盗には対策が必要
  • 神奈川県秦野市のため東京都の行政サービスとは制度が異なる
  • 小田急線1路線のみで、遅延時の代替手段が限られる
  • 観光地ゆえに週末は温泉・ハイキング客で駅前が賑わう日がある

鶴巻温泉駅をおすすめしない人

毎日都心に通勤する人。新宿まで乗り換え込みで約65〜75分、往復で2時間半。週5日のフル出社なら、この通勤は確実に生活の質を削る。都心通勤が前提なら、この駅は選択肢から外したほうがいい。

都会的な刺激・利便性を求める人。映画館も大型商業施設も繁華街もない。夜は静まり返り、店じまいも早い。「便利さ」の物差しで測れば、この駅は下位に来る。温泉と山に心が動かないなら、住む理由が見つからない街だ。

教育の選択肢を最重視するファミリー。塾が遠くなる、選択できる学校が限られるという住民の声は重い。中学受験・進学塾通いを前提にした子育てプランなら、本厚木・海老名以東のほうが現実的だ。

車を持たずに駅徒歩圏外を検討している人。駅周辺は便利だが、離れると車前提の生活圏になる。バス便も限られるため、車なしなら駅徒歩10分以内の物件に絞ること。

東京都の行政サービスが外せないファミリー。秦野市は神奈川県の自治体で、子育て支援・医療費助成の内容は東京都と異なる。入居前に秦野市の公式情報を確認すること。


鶴巻温泉駅の将来性と展望

派手な再開発はない。だが、この街には「磨かれ続ける固有価値」がある。

ひとつは温泉だ。鶴巻温泉駅は数年前に環境が整備されて綺麗になっており、新しい遊歩道からは豊かな鶴巻温泉の街並みを一望できる。駅前整備はすでに完了しており、温泉街の玄関口としての顔は整った。弘法の里湯は秦野市の観光拠点として運営が続いており、「温泉のある駅」というアイデンティティは今後も揺るがない。

もうひとつはハイキング需要だ。弘法山公園は桜の名所・夜景スポットとしても知られ、首都圏の日帰りハイキング人気の高まりとともに、鶴巻温泉の「山と湯の駅」としての知名度は静かに上がり続けている。観光客の往来は、駅前の店舗・施設の維持につながる。

人口減少が進む神奈川県西部にあって、鶴巻温泉駅周辺は駅の南に位置する鶴巻南に人口が集中しているように、駅近への居住集約が進んでいる。秦野市は移住支援・子育て支援に力を入れており、「家賃4万円台・温泉つき・新宿1時間強」という条件は、リモートワーク時代の移住先として再評価される余地を残している。

資産価値の急上昇は期待しにくいが、「安く買って(借りて)、長く豊かに住む」という観点では、この街の価値は安定している。温泉は枯れず、山は消えない——それがこの街の、何よりの将来保証だ。

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