柿生駅の住みやすさ総合評価
降りた瞬間、時間の流れが変わる気がする。
新百合ヶ丘の整備された駅前から1駅。でも景色はがらっと違う。柿生駅の方は完全に取り残された昭和の雰囲気。道路も狭く商店街も軒並み古くシャッターも多い。再開発計画があるが全く進んでいない。これは批判ではなく、街の個性の話だ。新百合ヶ丘が「計画都市の完成形」なら、柿生は「時代の速度から取り残されたことで守られてきた街」とでも呼ぶべき場所になっている。
そもそも柿生という地名の由来が面白い。柿生駅周辺は、日本最古の甘柿とされる「禅寺丸柿」の名産地。かつて「柿生村」と呼ばれた土地でもあり、ここ柿生駅からは収穫された柿が大量に出荷されていたといい、現在はほとんど市場に出回ることのない貴重な禅寺丸柿だが、地元の保存会によって大切に育てられていて、麻生区の木やご当地キャラクターにもなっている。800年前から続く柿の産地。その歴史が街の空気の底に沈んでいる。
住んでいる人たちからは「のどかな場所で人ごみを避けた郊外として住むには最高」「都会でもなく、かといって極端な田舎でもない、程々の環境が気に入っている」という声が繰り返し出てくる。都会でもなく、かといって極端な田舎でもない程々の環境が気に入っている。また寺や神社が多く、地域の年中行事も多いので勉強になる。文化的な豊かさを「イベントの数」ではなく「地域の年中行事や神社仏閣」に見出せる人——そういう感性の持ち主が、柿生を選んで長く住み続ける。
ただし「程々の環境」の裏側も正直に書く。娯楽は少ない。若者向けの飲食店も限られる。バスなしで生活できるかどうかは、物件の場所に大きく左右される。街の規模は小さく、エリアとしての発展も望みにくい。それをすべて承知で「静かさと自然に価値がある」と言い切れる人が、柿生に向いている。
柿生駅の治安は大丈夫?
川崎市という名前で身構えなくていい。麻生区は川崎市の中で犯罪発生件数が最も少ない区だ。
柿生駅がある麻生区の犯罪総数は370件で、川崎市内7地区の中で最も少ない件数だ。それに加えて、柿生駅は子育て世帯の割合が18%で安心できるエリア。ファミリー世帯の比率が高いことは、地域コミュニティの目が届いていることを示す間接的な指標だ。
柿生はファミリーや高齢者世帯が多く、街全体が落ち着いた雰囲気。また街のあちこちに緑地や公園があり、自然豊かな街でもある。犯罪発生率が非常に低く、治安が良い街だ。
一方で、ひとつ目を向けておきたいのが夜道だ。駅前や住宅街は人通りが少なく、夜道が暗い場所も多いので、女性の一人歩きは少し不安を感じるかもしれない。犯罪件数が少ないこととは別の話で、「暗くて怖い」と感じることはある。特に駅から坂を上った住宅街エリアは、夜間の人通りがほとんどなくなる。内見の際は必ず夜のルートを歩いて確かめること。
また、特殊詐欺や乗り物盗・侵入盗といった窃盗犯などが多発しているケースがある。自転車盗と自動車盗は麻生区全体の課題でもあり、二重ロックと防犯カメラ付き駐車場の活用は必須だ。
属性別の整理:
- 女性の一人暮らし → 犯罪率は低いが夜道が暗い。大通りに面した物件を選び、帰宅ルートを必ず事前確認すること
- 学生 → 両隣の駅と比較して人が多過ぎない。忙しない感じもなく穏やかな空気感があり治安も良い
- ファミリー → 柿生駅周辺は小学校が多いことから、警察や自治体によるパトロールに力を入れられており、市内でも治安が良い場所として知られている
- 全般 → 自転車・バイクの二重施錠は鉄則。住宅街での侵入盗にも注意し、防犯設備付き物件を優先すること
柿生駅の家賃相場と賃貸事情
隣の新百合ヶ丘と比べると、家賃の落差がはっきりある。これが柿生に住む経済的な理由のひとつになっている。
北口にスーパー「そうてつローゼン・マルエツ」がある。南口はスーパーがなく、ドラッグストア「セイジョー」が便利だ。買い物環境は新百合ヶ丘に軍配が上がるが、駅前に2軒のスーパーがあること自体は、生活インフラとして最低限の水準を満たしている。
駅前には、マルエツと相鉄ローゼンという大きなスーパーマーケットがあり、どちらも夜遅くまで営業しているのでありがたい。また、マルエツは、ダイソーやしまむらやドラッグストアなども同じ店舗に入っており、なんでもそろうので重宝している。これは重要な情報だ。マルエツ内にダイソー・しまむら・ドラッグストアが入っているということは、日用品・衣料品・医薬品まで1か所で揃う。各駅停車のみの駅にしては、意外なほど生活インフラが凝縮されている。
間取り別 家賃相場(柿生駅 徒歩10分以内)
| 間取り | 家賃相場(目安) | 想定入居者 |
|---|---|---|
| 1R | 4〜6万円 | 学生・節約重視の単身者 |
| 1K | 5〜7.5万円 | 一人暮らし全般 |
| 1DK | 6〜8.5万円 | ゆとりある単身・同棲候補 |
| 1LDK | 8.5〜11万円 | 同棲・二人暮らし |
| 2LDK | 11.5〜15万円 | カップル・ファミリー |
| 3LDK以上 | 14〜19万円 | ファミリー向け |
隣の新百合ヶ丘と比べると概ね1〜2万円安い水準。一見小さな差のように見えるが、年間で12〜24万円の違いになる。「新百合ヶ丘まで1駅の生活圏で、家賃だけ柿生水準」という使い方をする住民も実際に多い。
柿生駅周辺の地価は令和5年時点で公示価格の平均値が16万8083円/㎡、坪単価55万5647円と近隣エリアの中では比較的良心的な印象。購入を検討している人にも、新百合ヶ丘や麻生区の他駅と比べると入手しやすい価格帯で選択肢がある。
柿生駅のアクセス・通勤利便性
各駅停車のみ。この一点が、柿生のあらゆる評価を分けるハードルだ。
ただし、隣の新百合ヶ丘まで1駅という事実が、そのデメリットをある程度吸収している。電車は各停のみだが、隣の新百合ヶ丘で急行にほぼ接続するので都内へのアクセスは悪くない。実際のところ、柿生で各停に乗り、新百合ヶ丘で快速急行に乗り換えれば新宿まで約33〜35分。乗り換え1回の手間を「許容できるか否か」が、毎日の生活感覚を決める。
駅は昼間は各駅停車だが、新百合ヶ丘へ一駅で行けて、そこから快速急行、急行を利用すれば新宿方面の主要駅へも速く行けて便利。駅から徒歩圏内の場所に住めば、バスを使わないぶん朝夕の交通渋滞の影響も受けにくい。
主要駅へのアクセス一覧
| 目的地 | 路線・手段 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 新宿 | 各停→新百合ヶ丘で快速急行乗換 | 約33〜38分 |
| 新百合ヶ丘 | 小田急線(各停) | 約3分 |
| 登戸 | 小田急線(各停) | 約10分 |
| 下北沢 | 各停→新百合ヶ丘乗換 | 約20分 |
| 渋谷 | 各停→新百合ヶ丘→新宿乗換 | 約45〜50分 |
| 町田 | 小田急線(各停) | 約15〜20分 |
| 表参道 | 各停→千代田線直通(新百合ヶ丘乗換) | 約45〜50分 |
| 市が尾(東急田園都市線) | バス | 約20〜25分 |
| 青葉台(東急田園都市線) | バス(桐蔭学園経由) | 約30分 |
バスは東急田園都市線の市が尾駅行きがあるようなので小田急線の振替に利用できると思われる。また桐蔭学園行きが頻繁に走っているので途中で乗り換えれば東急田園都市線の青葉台駅のバスも頻繁に走っている。これは見落とされがちな柿生の隠れた強みだ。東急田園都市線へのバスルートがあることで、実質的に2路線圏内に近い移動環境を得られる。渋谷方面への通勤者は、市が尾や青葉台まで出て田園都市線を使う方法も選択肢になる。
柿生駅はどんな人に向いている?
「のどかな郊外で、静かに腰を据えて暮らしたい」という動機で選ぶ人が一番フィットする。
一人暮らし向きか?
向いている人と向かない人がはっきり分かれる。家賃を新百合ヶ丘より1〜2万円安くしたい、夜は静かな環境で過ごしたい、朝の通勤ラッシュを新百合ヶ丘乗換で対応できる——この三つを受け入れられるなら、かなりコスパが良い選択になる。ただし駅周辺で遊べるところはないという住民の声の通り、娯楽・外食を近所で楽しみたい単身者には合わない。週末は新百合ヶ丘か新宿に出ることが前提になる。
カップル・同棲向きか?
自然の豊かさを二人で楽しめるカップルには向いている。柿生から鶴川までが一望できる高台からの景色や、麻生川沿いの桜スポット、禅寺丸柿の歴史など地域の文化や自然を楽しむ生活スタイルが合うかどうかが分かれ目だ。1LDKで月8〜11万円、二人で折半すれば一人4〜6万円というのはこの沿線では最安値クラスの水準。「週末は自然の中を散歩し、必要なときだけ都心に出る」という暮らし方が好きなら、かなり豊かな選択になる。
ファミリー向きか?
向いている。川崎市では妊娠して病院に通う際、最大14回分の補助券を配布することで健康検査にかかる費用を支援。川崎市「ふれあい子育てサポート事業」によって育児援助活動も支えられており、行政の子育て支援は手厚い。新百合駅前にあるイオンは映画館もあり、子供が遊べる無料スペースや授乳場所もちゃんとあり安心して買い物することができる。1駅先に大型商業施設がある構造は、「地元は静かに、用事があれば隣駅で」という理想の使い分けを可能にしている。
柿生駅のメリット・デメリット
この街に住んでよかった点
- 新百合ヶ丘より1〜2万円安い家賃水準で、同じ小田急沿線・麻生区の生活圏に住める
- 駅前にマルエツと相鉄ローゼンという2軒の大型スーパーが夜遅くまで営業しており、仕事帰りでも買い物できる
- マルエツ内にダイソー・しまむら・ドラッグストアが入っており、日用品・衣料品・医薬品が1か所で揃う
- 地価が坪単価55万円台と近隣比較で良心的なため、購入も視野に入れやすい
- 川崎市麻生区は川崎市内で犯罪総数が最少の区として治安が安定している
- 禅寺丸柿の保存会・地域の年中行事など、昭和の文化が生きた地域コミュニティが残っている
- バスで東急田園都市線(市が尾・青葉台方面)にアクセスできるという隠れた2路線環境
- 川崎市の妊娠・子育て支援制度(健診補助・育児サポート等)が利用できる
- 新百合ヶ丘まで1駅3分という距離で、映画・ショッピング・急行乗換が補完できる
- 麻生川沿いの桜スポット・高台からの眺望など四季の自然を近くで楽しめる環境がある
- 改札が2箇所あり、どちらの口にもファミリーマートが目の前にある便利な配置
住んでみてわかった不満点
- 各駅停車のみ停車で買い物する場所が少なく娯楽も少ない。周りで街の発展が望めないという声がある
- 昭和の雰囲気で道路も狭く商店街にシャッターが多い。再開発計画があるが全く進んでいない状況
- 夜道が暗い場所が多く、人通りも少ないため、特に帰宅が遅い単身女性は物件の場所に要注意
- 神奈川県川崎市のため東京都の行政サービスとは制度が異なる
- 坂道が多く、交通の便が良く商業施設もあるが駅までの坂道がきついという声がある
- 環境は良いが駅から遠いので、車なしでは生活出来ないエリアが存在する
- 公園が少なく、学校の放課後は校庭が使えないと外で遊ぶ場所はほぼないという子育て世帯からの声もある
- 南口側はスーパーがなく、南口物件の場合は買い物に不便を感じる場面がある
- 深夜営業の飲食店が限られ、遅い時間に帰宅した後の外食選択肢が少ない
柿生駅をおすすめしない人
都心直結の速達通勤にこだわる人。新宿まで各停で乗り換えありの約35分は、この沿線で登戸・新百合ヶ丘と比べると劣る。毎日の乗り換えと通勤時間を最小化したい人は、新百合ヶ丘か登戸を選んだほうがストレスが少ない。
地元で娯楽・外食を楽しみたい人。映画館なし、居酒屋の選択肢が限られ、おしゃれなカフェもほぼない。週末を地元で過ごそうとすると、何をするにも隣の新百合ヶ丘まで出ることになる。その移動を「苦」と感じるなら、最初から新百合ヶ丘に住んだほうがいい。
夜遅い帰宅が多い単身女性。犯罪件数は少ないが、夜道が暗い場所が多いという実態は変わらない。人通りのない夜道を歩く頻度が高い生活スタイルには、環境が合いにくい。駅徒歩5分以内の大通り沿い物件に絞れば選択肢はあるが、それに合う物件数は限られる。
「発展する街」に住んで資産価値の上昇を期待する人。周りで街の発展が望めないという住民の声が示す通り、再開発計画があっても実行には時間がかかっている。隣の新百合ヶ丘(横浜市営地下鉄延伸計画あり)と比べると、資産価値の上昇シナリオは描きにくい。長期購入を見据えるなら、投資目線での評価は慎重に行うべきだ。
車を持たない・持てないファミリー。環境は良いが駅から遠いので車なしでは生活できないエリアが存在する。小学校・保育園・スーパーへのルートを自転車と徒歩だけで完結させるには、物件の場所を慎重に選ばないと日常が不便になる。
柿生駅の将来性と再開発情報
柿生に「急激な発展」を期待するのは難しい。でも「このままの状態が続く」と悲観することもない。実際に近年、駅周辺に新築マンションが建ち始めており、少しずつ街のインフラが更新されている。昭和の商店街の空き店舗問題は解消されていないが、マンション開発による人口の補充と若い世代の流入が、街の代謝を緩やかに促している。
隣の新百合ヶ丘で横浜市営地下鉄延伸計画が進むと、その波及効果は1駅隣の柿生にも届く可能性がある。新百合ヶ丘の利便性が上がることで「新百合ヶ丘に近いエリア」としての柿生の相対的な価値が高まる構図だ。
柿生駅周辺の地価は坪単価55万5647円と近隣エリアの中では比較的良心的な印象。土地が安い今、購入・建築を検討するには悪くないタイミングでもある。禅寺丸柿の歴史と地域の年中行事が育んできた「地域の結びつき」は、資産価値の数字には出てこないが、長く住み続けるうえでの安心感を確実に底上げしている。
まとめ|柿生駅はこんな人におすすめ
新百合ヶ丘から1駅下ることで何が変わるか。騒がしさがなくなる。家賃が下がる。昭和の空気が戻ってくる。そして意外なことに、スーパーと生活必需品店は駅前に揃っている。
「のどかな場所で人ごみを避けた郊外として住むには最高」という住民の言葉が、この街の本質を一番正直に表している。都心の速度と距離を置きながら、必要なときだけ新百合ヶ丘で補完する。その生活サイクルを「豊かさ」として受け取れる人が、柿生を選んで後悔しない。
住んで満足した人のパターン: 新百合ヶ丘の家賃では厳しかったが、生活圏は同じにしたかったファミリーが、1駅差で2万円安い部屋に決めた。ファミリーで広い庭付きを探し、この沿線では柿生だけで予算内に収まった。麻生川の桜と高台からの眺望に一目惚れして移ってきた。寺や神社が好きで、地域の祭りに参加するうちに10年住み続けていた。
後悔した人のパターン: 各停のみという不便さを甘く見ていた。夜道が暗くて一人帰宅に毎回不安を感じた。週末に地元で過ごす選択肢がなく、常に電車に乗ることに疲れた。再開発に期待して購入したが、数年待っても進まなかった。
禅寺丸柿は800年かけて、この土地で守られてきた。急がない。焦らない。そういう時間の使い方ができる人に、柿生はよく似合う。

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